ここでは、古代の庭園以外の庭園で参照すべき庭園を4つほど紹介する。「平安の庭」で取り上げた庭園の殆どが寺院に残る浄土式庭園であるように、現在、平安時代の寝殿造庭園は一つも残ってはない。「浄土式庭園は、様式的な構造においては寝殿造庭園と全く同一で、ただ見る側の認識が蓬莱か、浄土かの違いと言われるが、やはり寺院の庭園であるという点で貴族の邸宅に作られた寝殿造庭園とは全体的な印象を異にすることも否めない。そこで、後世の17世紀に作られた庭園ではあるが、京都御所の庭(江戸時代初期)、京都仙洞御所(江戸時代初期)、桂離宮(江戸時代初期)、また、現代の歴史テーマパークであるえさし藤原の郷(平成5年開業)の寝殿造邸宅の再現庭園を参考として紹介する。加えて、飛鳥の石造物のレプリカを集めて展示している飛鳥資料館の写真も併せて掲載し、古代庭園の理解の一助としたい。